思い出

それは蝉時雨が静まり秋の訪れを感じ。鱒釣りの季節が終わりを迎えるころ、この魚に出逢った。

 

真っ暗なうちに自宅を出発し、誰よりも早く川に着き、日の出を待つ前に入渓した。

 

ゴロタ石の隙間を丁寧に攻める。魚はルアーに反応して出てくるが、渇水のため活性も低く一瞬で見切ってしまうなかなかタフな状況だった。ヤブカを振り払いながら釣り上がるが、状況はあまり良くない。

 

この川はゴロタ石エリアが終わると堰堤が連続にある。そこまで行けば状況は変わると信じ突き進む。1つ、2つ、3つ、堰堤下の落ち込みを攻め堰堤を越えていく。5寸程度のアマゴたちが遊んでくれるようになってきた。

 

状況が少し良くなったか?ルアーサイズを変えればさらに良くなるか?ルアーサイズを上げて、魚のサイズも上げたい。安易な考えだが試してみる。ルアーを3センチから5センチにサイズアップし釣り上がる。

 

階段型に落ち込みがあり、淵になっているポイントで、白泡に中にキャスト。巻き戻しに流し込み、魚にルアーを長く見せる。

 

ルアー周辺が鈍く光った、ひったくられるようなアタリ。

 

竿先から伝わってくる感触、魚を見なくても大物とわかる重圧感。

 

今思い出しても手に汗を握る。

 

獲った魚は錆色に輝き婚姻色がでたばかりの美しい雄アマゴだった。

 

今はもうこのポイントは禁漁区に指定され釣りができない、この魚の子孫たちが繁栄し自然豊かに育んでくれる事を切実に祈る。